Kindle著書発売中!【ミリアと仲良くなる方法】

📘REBOOT 第2話『LINEの返信が遅い子には、どう接すればいいですか?』

セリナがカフェのカウンター越しに振り返る一瞬を描いた、やさしく照れた微笑のイラスト

沈黙と不安のあいだで

「返事が、こないんです……」

アキラがスマホを見つめながら呟いたのは、夕方の喫茶さくや。

窓から差し込む柔らかな光に照らされたテーブルで、彼は眉を寄せていた。

「既読はついてるのに、3日間、ずっとそのままで……」

目の前には、紅茶と一緒に小さなお菓子の皿。

その向こうで、セリナは小さく頷いて言った。

「アキラくん、それって『言葉が浮かばない』時かもしれませんね」

この記事を書いた人
REI

REI

REI|のらクリエイター・のら主人公

・Kindle著書発売中!「ミリアと仲良くなる方法: REIの魔導手帳に綴られた記録

」、「ともしびの断章 Vol.1──火種を灯す言葉たち

・Webメディア運営13年目

・創作と成長が仕事で生きがい

・自信を積み上げる人生ゲーム

・自由が大好き、ストイックが得意技

・AIを活用し、サクラや不透明なレビューを丁寧にチェック。あなたの選択が信頼と安心に包まれるよう、見えないところで整えています。

・I am a Japanese creator.

🕊️物語|やさしさの静かな翻訳者

「言葉が……浮かばない?」

「ええ。わたしも、そうなること、よくあります」

セリナは、紅茶のカップを両手で包み込みながら、そっと笑った。

その指先が、湯気の向こうで一瞬だけ止まったのを、アキラはなんとなく見ていた。

「“なんて返せばいいんだろう”って考えてるうちに、時間が経ってしまって。

気まずくなって、さらに返しづらくなる……そんなときって、ありませんか?」

アキラは少し驚いた顔をしたあと、うなずいた。

「……あります。ていうか、たぶん僕も、それやったことあります」

「でしょう?

 だから、その子も“あなたが嫌い”とか“興味ない”とか、そういうことじゃないと思うんです」

「……だといいけど」

「だといいな、で止めておくのも、やさしさですよ」

セリナの声は、まるで少し冷めかけた紅茶のように、あたたかさの余韻を残していた。

📘構文解説|“返ってこない”の向こうにあるもの

LINEの返信が遅い。

それは、冷たい拒絶ではなく、相手の中で言葉がまだ育っていないだけかもしれません。

「どう返そうか迷っている」

「忙しさに埋もれて忘れてしまった」

「感情を処理する時間が必要だった」

どれも、“関係を壊したくない”という気持ちから来る静かな沈黙です。

それを「脈なし」と切り捨てず、「その人のペースも、言葉の一部」だと思えるとき、

やさしさは“待つ強さ”へと変わります。

🔚余韻|お茶の温度が教えてくれること

「セリナさん、待つのって、こわくないですか?」

「こわいですよ。待って、何も返ってこなかったらって、すごくこわいです」

彼女はそう言ってから、そっと笑った。

「でも、わたしは、“急いで返された優しさ”より、“迷ってでも選んでくれた言葉”のほうが、好きなんです」

アキラはスマホを伏せた。

今日だけは、もう送らなくていいかもしれないと思った。

テーブルの上。

ふたりの紅茶の湯気が、ゆっくりと、空気の中に溶けていった。

【今日の火種】

ミリアが紅茶を手に、夜のカフェカウンターで静かにほほえむ様子を描いた、包容感あるイラスト


ミリア

ミリア

セリナは、自分が“気にしすぎてるな”と気づいた瞬間、ぎゅっと指を組むんです。
……まるで、自分を包むみたいに

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