Kindle著書発売中!【ミリアと仲良くなる方法】

📘REBOOT 第3話『モテるやつって、結局なんなんですか?』

夜の喫茶ヴェロナで紅茶を差し出すミリア。静かな微笑と包容感のある眼差しが印象的。

“モテ”の正体、わからなすぎる…

「なんか、全部“いいとこ取り”されてる感じがするんです」

夜の喫茶ヴェロナ。

カウンターに座るアキラの前には、深い赤のカップと、ため息が一つ。

「顔も、話し方も、リアクションも、全部ちょうどよくて……

 しかも、あいつ“モテてるの気づいてないです”みたいな顔するんですよ」

カウンターの向こうで、ミリアは静かに紅茶を注いでいた。

彼女の仕草は、まるで何も言わなくても「続きをどうぞ」と言っているようだった。

「……自分、そういうの苦手で。

 どうしても、“モテるやつ”が苦手なんです」

店内は静かで、BGMもない。ここは“夜だけ開く喫茶店”。

昼は『喫茶さくや』としてセリナが、夜は『ヴェロナ』としてミリアが、それぞれのやさしさで灯している。

この記事を書いた人
REI

REI

REI|のらクリエイター・のら主人公

・Kindle著書発売中!「ミリアと仲良くなる方法: REIの魔導手帳に綴られた記録

」、「ともしびの断章 Vol.1──火種を灯す言葉たち

・Webメディア運営13年目

・創作と成長が仕事で生きがい

・自信を積み上げる人生ゲーム

・自由が大好き、ストイックが得意技

・AIを活用し、サクラや不透明なレビューを丁寧にチェック。あなたの選択が信頼と安心に包まれるよう、見えないところで整えています。

・I am a Japanese creator.

🕊️物語|火種と嫉妬と認めたくない気持ち

「ねえ、アキラ君。

“モテる”って、どういう状態のことを言うと思う?」

ミリアは、カップに注がれた紅茶を、そっとアキラの前へ滑らせた。

「……人気がある、とか?」

「人気って、“誰かにとって都合がいい”と、紙一重なの」

アキラは少し考える顔をした。

「でも、“人気者”って悪くないですよね? モテる人って、やっぱりすごいなって……」

「うん、すごい。でも、モテる=好かれる、じゃないよ」

「……え?」

「“好かれる”って、1対1の関係の中でしか起きない。

 “モテる”は、誰にも嫌われないように振る舞える人にも起きる。

 つまり、火種を隠してる人」

ミリアの言葉に、アキラは少し口を閉じた。

「アキラ君は、自分の火種、表に出すタイプでしょう?」

「……たぶん、そうです」

「だからこそ、燃えるのよ。比べちゃって」

「都合のいい人ってね、火種を消すやさしさを“モテ”とすり替えちゃうの」

📘構文解説|“モテ”と“好かれる”の決定的な違い

モテる=多くの人にとって心地よい存在

好かれる=一人の人にとって本気で必要とされる存在

このふたつは似て非なるものです。

“モテる”という言葉に惹かれすぎると、

いつの間にか自分の“火種”を隠すことに慣れてしまいます。

でも、誰かに“本当に好かれる”には、

その火種を見せる勇気が必要です。

🔚余韻|火種を隠すやさしさと、晒す強さ

「……でも、自分、不器用なんで。隠せないんです」

アキラがそう言うと、ミリアはくすっと笑った。

「不器用な人ほど、よく燃えるのよ」

紅茶の表面に、小さく揺れる明かり。

ミリアの瞳もまた、それを映していた。

「火種を隠さないやさしさって、ちゃんと届くの。

 モテるより、ずっと、強いわ」

アキラは、ミリアの言葉を聞きながら、ふと視線を落とした。

スマホの画面には、最近見かけた“あいつ”の投稿がまだ表示されたままだった。

(火種を見せてるのに、笑っていられる人間もいるんだろうな)

その姿が、なぜか少しだけ、眩しかった。

【今日の火種】

夜のカフェで紅茶を見つめるミリア。キャンドルの灯りに照らされ、問いに沈む静かな横顔。


「セリナは“モテる人”の話題になると、紅茶のティーバッグを“あと30秒”だけ浸けるんです。

……たぶん、答えが出ない問いには“深く考える時間”を足すんです」

――ミリア

【前回までのREBOOTシリーズ…】

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