Kindle著書発売中!【ミリアと仲良くなる方法】

📘REBOOT 第5話『“理想の女性”って、本当に僕が決めていいんですか?』

Serina stands in front of a wooden bookshelf, softly glancing over her shoulder as sunlight filters through the café window, evoking a moment of quiet thought.

“好きなタイプ”の迷宮

「……なんかもう、誰が“理想”なのか、わかんなくなってきて」

喫茶さくや、午前の静かな時間。
アキラは、湯気の立つマグカップを両手で包みながら、言葉を探していた。

「優しい人がいい、って思ってたけど……
 強い人とか、気まぐれな人にも惹かれたりして……」

カウンターの向こうで、セリナがスプーンでそっとミルクをかき混ぜていた。
彼女は静かに微笑む。

「アキラくん、“理想”って、いつ誰が決めたものなんでしょうね」

この記事を書いた人
REI

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REI|のらクリエイター・のら主人公

・Kindle著書発売中!「ミリアと仲良くなる方法: REIの魔導手帳に綴られた記録

」、「ともしびの断章 Vol.1──火種を灯す言葉たち

・Webメディア運営13年目

・創作と成長が仕事で生きがい

・自信を積み上げる人生ゲーム

・自由が大好き、ストイックが得意技

・AIを活用し、サクラや不透明なレビューを丁寧にチェック。あなたの選択が信頼と安心に包まれるよう、見えないところで整えています。

・I am a Japanese creator.

🕊️物語|答えのない問いと、ふたつの光

「昔、“こういう人と付き合いたい”って、明確に思ってたんです」

「ふふ。それって、今も変わらずですか?」

アキラはしばらく黙って、カップの中を見つめた。

「……なんか、会う人によって“あ、この人いいな”って思っちゃって」

「そのたびに、“理想”が変わる?」

「というか、どんどん曖昧になってく気がして。
 ちゃんと“ひとり”を選べる気がしないんです」

セリナは紅茶のカップを置き、少しだけアキラに身体を向けた。

「それ、きっと悪いことじゃないですよ」

「……そうなんですか」

「うん。だって、“理想の誰か”に向かって恋をするんじゃなくて、
 “誰かを好きになったとき、その人の中に理想を見つけていく”ってことかもしれないですから」

アキラは少しだけ目を見開いた。

「……そんな考え方、初めてです」

📘構文解説|“理想像”と“惹かれる瞬間”は別物

恋愛において、“理想のタイプ”という言葉はよく使われます。

けれど本当は、
「こういう人がいい」と決めていたはずなのに、
「全然違う人」に惹かれてしまうことが、何度もあります。

それは、“理想”が固定されたものではなく、
“好きになった人の中に、あとから見つけていくもの”だから。

自分で決めた理想に縛られすぎると、
“誰かに惹かれるという偶然”を受け入れることができなくなってしまいます。

“理想”は、誰かに会ってから育つもの。
それでいいんです。

🔚余韻|光のグラスに浮かぶ輪郭

セリナが、カウンターの上のガラスコースターに紅茶のカップを置いた。
その下に、光の輪が浮かぶ。

「理想ってね。ふとした仕草とか、笑い方とか……
 “光が当たった瞬間の輪郭”みたいに、あとから見えるんです」

アキラは紅茶を一口飲んで、小さく息をついた。

「……でも、そういう瞬間、ちゃんと見つけられるかな」

「大丈夫ですよ」

セリナは笑った。

「アキラくんは、“見ようとする目”を、もう持ってますから」

紅茶の香りと、光の輪。
その静かな組み合わせが、少しだけアキラの心を温めていた。

【今日の火種】

Serina smiles warmly behind the café counter, her soft gaze and calm demeanor reflecting the gentle kindness of an everyday moment.


「ミリアは、“理想の人はどこにいるんでしょうね”って聞かれると、
 “きっと、見落としたすぐ隣にいますよ”って答えるんです」
――セリナ

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