Kindle著書発売中!【ミリアと仲良くなる方法】

📘REBOOT 第6話『なんで僕、“自分のこと”だと語れなくなるんだろう』

A silver-haired woman gently cradles a teacup at a café counter, her eyes lowered in quiet reflection under the warm glow of a lamp.

🔹語りかけになると、急に言えなくなる

「友達の話としてなら、けっこういろいろ語れるんです」

喫茶ヴェロナ、夜の静けさ。
アキラはソファ席でカップを片手にしながら、ゆっくりと言葉をつないでいた。

「でも、“自分のこと”になると……なんか、変に照れるっていうか、
 うまく話せなくなっちゃって」

「それは、“まだ言葉になっていない”だけですよ」

ミリアはカウンターの奥から、そうやさしく答えた。

この記事を書いた人
REI

REI

REI|のらクリエイター・のら主人公

・Kindle著書発売中!「ミリアと仲良くなる方法: REIの魔導手帳に綴られた記録

」、「ともしびの断章 Vol.1──火種を灯す言葉たち

・Webメディア運営13年目

・創作と成長が仕事で生きがい

・自信を積み上げる人生ゲーム

・自由が大好き、ストイックが得意技

・AIを活用し、サクラや不透明なレビューを丁寧にチェック。あなたの選択が信頼と安心に包まれるよう、見えないところで整えています。

・I am a Japanese creator.

🕊️物語|自分を語るという照れと怖さ

「昔から、“話すほどのことじゃない”って思ってて……」

「……それ、本当にそうでしょうか」

ミリアはゆっくりアキラの前にカップを置いた。

「たとえば、今日あったこと。
 “言うほどのことじゃない”と思ったその出来事が、
 誰かの心には、大きな意味を持つかもしれません」

アキラは一瞬、視線を伏せて、笑った。

「……なんか、そう言われると、恥ずかしいです」

「恥ずかしさは、“火種”が生まれる合図でもあります」

「火種……?」

「そう。言葉にしようとして、できなかったとき、
 心の中に小さな熱が残るでしょう? それが火種です」

📘構文解説|“照れ”は火種のはじまり

“自分のことを語るのが苦手”という感覚には、
いくつかの火種が潜んでいます。

・誰かに軽く思われたくない気持ち
・それを話すことで、自分でも直視してしまう怖さ
・うまく伝えられないもどかしさ

でもそのどれも、
「言葉にならない熱=火種」があるからこそ、感じられるもの。

大切なのは、すぐに“うまく語る”ことではなく、
「言葉になりそうな感情を、逃さず見つけてあげる」ことです。

🔚余韻|語れなかった日々にも火種は宿る

アキラがふと、スプーンを紅茶に沈めながら言った。

「昔、誰かに“それ、どうでもよくない?”って言われたことがあるんです」

「それ以来、“語るのが怖い”って思ってたのかも」

ミリアは、少しだけ目を伏せ、優しく頷いた。

「それでも、語ろうとした今日のアキラ君は、
 その頃よりもずっと強くて、やさしいと思います」

「……そう思えたら、ちょっと救われます」

「じゃあ、今日はその気持ちを、言葉じゃなくて、
 “カップのぬくもり”で覚えていてください」

アキラはそのカップを見つめたまま、ほんの少しだけ、目を細めた。

【今日の火種】

A silver-blonde woman smiles gently from across a café counter, her eyes meeting the viewer’s in calm reassurance under soft golden light.


「セリナは、“自分の話って、どうしても途中で笑っちゃうんです”って言います。
 ……たぶん、誰かに笑ってほしいからだと思うんです」
――ミリア

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