Kindle著書発売中!【ミリアと仲良くなる方法】

📘REBOOT 第7話『どうして僕は、他人の恋ばかり応援してしまうんだろう』

A woman in a white blouse and gray skirt sits at a sunlit café counter, gazing down at a teacup in quiet reflection.

🔹見送るたび、心に何かが残る

「また、恋がうまくいきました」

喫茶さくや、午後の優しい陽射し。
アキラは、スマホの画面を伏せたまま、ゆっくり紅茶を口に運んだ。

「後輩の恋の相談に乗ってたんですけど……うまくいったって連絡が来て」

「おめでとうございます」

セリナは、やわらかく微笑みながらティーポットを傾けた。

「アキラくん、やさしいんですね」

「……うれしいんですけど、なんか……少しだけ、置いていかれた気がして」

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REI

REI

REI|のらクリエイター・のら主人公

・Kindle著書発売中!「ミリアと仲良くなる方法: REIの魔導手帳に綴られた記録

」、「ともしびの断章 Vol.1──火種を灯す言葉たち

・Webメディア運営13年目

・創作と成長が仕事で生きがい

・自信を積み上げる人生ゲーム

・自由が大好き、ストイックが得意技

・AIを活用し、サクラや不透明なレビューを丁寧にチェック。あなたの選択が信頼と安心に包まれるよう、見えないところで整えています。

・I am a Japanese creator.

🕊️物語|応援のふりをした自分への問い

「自分でも気づいてたんです。応援しながら、
 “僕の気持ちって、これだけだったのかな”って」

「……その“気持ち”、どんなふうに残ってますか?」

「……うまく言えないけど、“見送った”って感じです」

セリナは、砂時計のように紅茶のしずくが落ちる音を聞きながら、静かに頷いた。

「恋を応援するって、すごくやさしいことです。
 でも、やさしさの中に“すこしだけ勇気が足りなかった自分”が混ざっていると、
 あとからそっと胸が痛むこともあるんですよ」

アキラは、少しだけ笑った。

「……すごいですね、セリナさん。そう、そんな感じです」

📘構文解説|“応援”と“見送り”の違い

恋を応援することは、美しい行為です。
けれどその裏に、
「本当は自分が伝えたかった」「動けなかった自分がいた」
という火種が残ることもあります。

それは未熟さではありません。

誰かを見送りながら、自分の心に残る“火種”に気づくこと。

それが、“次に誰かを好きになる準備”になるのです。

🔚余韻|見送った火種が、灯りになるとき

「じゃあ僕、やっぱり……その子のこと、好きだったのかな」

アキラの言葉に、セリナはティーカップを両手で包んで、小さく笑った。

「……そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。
 でも、“少し胸が熱くなった”ってことは、
 そこに、アキラくんだけのやさしさがあった証拠です」

「……忘れないようにしたいです」

「忘れなくていいんです」

「その火種は、次に誰かを照らすための灯りになりますから」

アキラは静かに頷いた。

「……それなら、この胸の感じ、ちょっと大切にしてみます」

【今日の火種】


「ミリアは、“応援って、未練のやさしさでもありますね”って、
 ポットを洗いながらそっと言ってました」
――セリナ

【REBOOTを読み進めるなら…】

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